千葉県弁護士会
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刑事司法ソーシャルワークの実務

『慰謝料算定の実務』はこちら

社会福祉士と弁護士が構築する実践モデル!
『刑事司法ソーシャルワークの実務』

千葉県弁護士会の書籍のご紹介です。

『刑事司法ソーシャルワークの実務
―本人の更生支援に向けた福祉と司法の協働―』の特色

社会福祉士と弁護士が構築する実践モデル!
主要項目を事例で掘り下げ、丁寧に解説

  • アセスメントから更生支援計画書の作成、証人出廷まで主要項目を事例で掘り下げ、丁寧に解説。複数の書式例も収録。
  • 1つの事例に対して社会福祉士、弁護士双方の視点からポイントを解説することで、事件の流れを立体的に捉えることが出来る。
  • 司法と福祉の連携による、再犯防止・更生支援に取り組むための一冊。

刑事司法ソーシャルワークの実務
―本人の更生支援に向けた福祉と司法の協働―
単行本・定価3,888円(本体3,535円+税)
※ご注文は以下のHPより申し込めます。

「おわりに」より

当会では、60を超える委員会が設置され、基本的人権の擁護と社会正義の実現のためにさまざまな活動を行っています。特に最近は官民を問わず、外部の組織・団体との連携の重要性が強く認識されるようになり、対外連携に積極的に取り組む委員会も増えています。例えば社会福祉の関係では、社会福祉委員会を中心にして福祉分野との連携が強化されており、貧困問題に関わりのある団体が集まって情報交換・意見交換を行う「貧困問題に関する懇談会」の定期的な開催や、その発展型とも言える「福祉と司法の千葉県連絡協議会」の設置、そして同協議会による勉強会・シンポジウム等の活動が行われてきました。

刑事司法の分野では、刑事弁護センター、子どもの権利委員会、社会復帰支援活動援助制度運営委員会などを中心に、法律実務家としての立場から、再犯防止・更生支援のための取組みを推進してきました。もっとも本書のメインテーマである刑事司法ソーシャルワークへの取組みはまだまだ道半ばであり、委員会によるさらなる取組みや会員の意識向上が必要ではないかと思っているところです。おそらく刑事司法ソーシャルワークについては、全国的に見ても、まだ緒に就いたばかりというところが多いのではないかと思います。

他方で、我が国における刑法犯の現状に目を転じると、検挙数自体は減少しているものの、再犯者率は増加しつづけており、とりわけ、刑務所出所後も犯罪を繰り返す高齢者・障害者への対応がクローズアップされるようになってきました。中には刑期を終了して社会復帰しても、社会内で生活することが出来ず、刑務所に入ることを意図して再び犯罪に手を染める人もいる、という状況になっているのです。こうした状況のもとで、再犯防止の方策としても、「刑罰による矯正」という考え方から、「福祉的ケアによる再犯防止、生活再建」という発想の切り替えが求められる時代になっているのだと思います。

こうした時代的背景の中にあって、本書は、罪を犯した人の再犯防止・更生支援のために司法や福祉が果たしてきた役割や現状の制度等を確認しつつ、今後、司法と福祉とが、相互の関係をより強固にしながら、さらに効果的な再犯防止・更生支援に取り組んでいくことを目的として執筆されたものです。この意味で本書は誠に時宜を得た先進的な書であると言えますし、特に、弁護士の業務等、司法に関する部分は福祉関係者にとってわかりやすく、逆に福祉の業務に関する部分は司法関係者にとってわかりやすく執筆されており、相互理解を深めるための工夫が随所に盛り込まれた良書でもあります。また執筆者は、司法・福祉の実務家としての立場から刑事司法ソーシャルワークに精力的に関わってきた弁護士・社会福祉士ばかりですので、本書は、弁護士・検察官・裁判官も含めた法律実務家、社会福祉士をはじめとする福祉関係者、さらには保護観察所等更生施設関係者にとっても、極めて実践的で有益な手引書になろうかと思います。

是非本書を通じて司法と福祉との相互理解を深め、両者の緊密な連携の下で、罪を犯した人の再犯防止・更生支援のための実践をさらに積み上げていって頂くことを心から祈念し、巻末の挨拶とさせて頂きます。


平成30年度千葉県弁護士会会長
拝師徳彦